R2日文小算とR3日文中数の編集におけるジェンダーへの配慮の根本は，教育基本法第２条の第３号との関連に見られます。この第３号は，「正義と責任，男女の平等，自他の敬愛と協力を重んずるとともに，公共の精神に基づき，主体的に社会の形成に参画し，その発展に寄与する態度を養うこと。」となっています。

この教育基本法との関連について，R2日文小算では，「子どもの考えを表現する場面や算数で学習したことを利用する場面では，男女の平等に配慮した場面を提示し，公平な立場で他者と接する」ようにしています。また，R3日文中数では，「協働して取り組む活動の場面では，男女の区別のない役割を担い，各々が責任をもって自分の考えを伝え，他者の考えを認め，他者を敬う態度を身に付けられる」ようにしています。

このように，教育基本法の「男女の平等」を教科書で実現するために，R2日文小算とR3日文中数では，「男女の平等に配慮した場面」や「男女の区別のない役割」ということに特に配慮しています。

このような「男女の平等」というジェンダーへの配慮を教科書の紙面上で表現するために，R2日文小算とR3日文中数で用いられている児童・生徒の写真やイラストでは，男女が平等に扱われるようにしています。

• 児童・生徒の写真やイラスト，文章題などで，男女の登場頻度に差が生じないようにしています。
• 「男性は外で仕事，女性は家事や育児」「リーダー・力仕事＝男子，アシスタント・お菓子作り＝女子」といった役割の偏りが一切ないように配慮しています。また，男女が協力している姿を表現しています。
• 服装では，女子はスカートだけでなく，キュロットやズボンの子もいるように配慮しています。また，男性＝寒色系，女性＝暖色系といった固定化をせず，バランスよく配色をしています。

• 児童のメインキャラクターは，各学年で男女３名ずつにしています。
• ランドセルの色を性別で固定せず多様性を表現しています。

• 生徒のメインキャラクターは，男女２名ずつにしています。
• 制服の上半身について，男子は詰襟・ネクタイ，女子はリボンといった性別による服装の差をつけず，男女ともに白シャツとしています。

以上のように，R2日文小算とR3日文中数では，「男女の登場頻度や役割分担などに差が生じないようにする」，「男女の役割分担などの既成概念を排除する」など，人権面や社会的な性差別を助長することなく，男女平等について配慮されています。

さらに，R2日文小算では，各学年に登場する子どものキャラクターは学年単位で描き分け，１年間の成長を１つの世界観で表現するように工夫しています。また，R3日文中数では，各学年の教科書巻末にキャリア教育をテーマとした《数学を生かす》というコーナーを設けて，数学を生かして社会で活躍している女性のデータアナリストや女性のエンジニア，男性のアーティストを取り上げています。このような工夫も算数・数学の教科書におけるジェンダーへの配慮といえるでしょう。

R2日文小算やR3日文中数の著作者には，算数・数学教育の研究者や実践者はもちろんのこと，特別支援教育（カラーユニバーサルデザイン）や防災・安全教育，道徳教育に関する校閲をする専門家も加わっています。このようなメンバーで算数・数学教科書を編集することは，教科書におけるジェンダーへの配慮を含む多様性への配慮につながっていると確信しています。