北海道教育大学名誉教授
相馬 一彦
Kazuhiko Soma
昭和52年から中学校で15年,北海道教育大学旭川校で28年の教員生活。「問題解決の授業」を日常化するための実践や研究を進めてきた。大日本図書の教科書編集に昭和59年から携わっている。
中学校数学教科書(大日本図書)での【社会にリンク】
大日本図書の中学校数学教科書では,平成24年版から,仕事のなかの数学を紹介する読み物【社会にリンク】を掲載しています。これは,実社会で数学を使って活躍している人へのインタビュー記事です。
令和3年版教科書では,各学年の教科書に4名(各領域1人)を掲載しています。男女ほぼ同数にして,ジェンダーにも配慮しました。全学年12名の掲載職業は,次の通りです。
1人1ページを使って,次の3つについてインタビュー内容を紹介し,最後には生徒たちへのメッセージもあります。
- Q:どのような仕事をしていますか。
- Q:仕事のなかで数学はどのように役立っていますか。
- Q:仕事のやりがいはどんなところですか。
例えば第3学年「標本調査」の章では,自然保護官(レンジャー)庄司亜香音さんが,仕事のなかで鹿の数や食べられてしまったニッコウキスゲの数を調査するのに,それぞれの群生地で,1m×4mまたは1m×8mのエリアを標本としていくつか抽出し,その中で食べられた数を数えていることなどが紹介されています。
このような【社会にリンク】を通して,生徒たちに次のようなきっかけができることを願っています。
- 数学で学んでいることと職業及び日常生活との関連を実感する。
- 数学を活用することで,社会の形成に参画し,その発展に寄与できること知る。
- キャリア教育にもつながる機会を得る。
なお,大日本図書「WEBコンテンツ」では,教科書紙面に掲載しきれなかったインタビュー内容や写真を会話形式で掲載しています。こちらもご覧ください。
『数学の世界』WEB
- 1年
- 2年
- 3年
先に述べたように,【社会にリンク】では男女ほぼ同数にして紹介していますが,大日本図書の教科書ではジェンダーへの次のような配慮もしています。
- 生徒のキャラクターは,教科書紙面で男女が交互に出てくるようにしている。
- 複数の生徒を1か所に掲載する場合は,男女の人数に偏りが出ないようにしている。
また,ジェンダーと直接的には関連しないのですが,登場する6人の生徒のキャラクターに,外国にルーツをもつ生徒(マイ,カルロス)を登場させ,異文化への理解も進むように配慮しています。